欠けたピースは想いの証

「じゃぁ、卒業式、出られないのか?」

引っ越しの話をすると、幸太は本当に寂しそうな顔をしてくれた。

それがあたしにとっては一番嬉しい。

悲しいけれど、とっても嬉しかった。

しばらく黙った後、幸太は、

「だったらさ、写真、撮らないか?」

そんな事を言い出した。

「え?」

「卒業写真。2人でさ、学校行って」

「学校で?」

「うん。制服着て、校門の前で。2人であの学校にいたって、残しておけるように」

2人で――その言葉が嬉しかった。

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