欠けたピースは想いの証
三奈子の言葉に、オレは一瞬、言葉に詰まった。
「・・・元気でな」
「幸太もね」
軽く握手をして、三奈子は笑顔のまま歩き出した。
オレは、その背中が見えなくなるまでずっと見つめ続けていた。
「・・・行っちまった、か」
ぽつりと呟き、オレはふと手の中にある板チョコに目をやった。
ずっと持っていたせいで、少しだけ柔らかくなってしまっていた。
口に含んで噛むと、ぱきりといい音がした。
「・・・やっぱ、普通の板チョコだな」
[4]
戻る
|
次へ
[6]
|目次|