欠けたピースは想いの証

三奈子の言葉に、オレは一瞬、言葉に詰まった。

「・・・元気でな」

「幸太もね」

軽く握手をして、三奈子は笑顔のまま歩き出した。

オレは、その背中が見えなくなるまでずっと見つめ続けていた。

「・・・行っちまった、か」

ぽつりと呟き、オレはふと手の中にある板チョコに目をやった。

ずっと持っていたせいで、少しだけ柔らかくなってしまっていた。

口に含んで噛むと、ぱきりといい音がした。

「・・・やっぱ、普通の板チョコだな」

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