欠けたピースは想いの証

「前返し・・・?」

聞き慣れない言葉にオレは首を傾げる。

「そ。だからホワイトデーに何か送って来たりしないでいいからね」

「あ・・・」

それが三奈子の優しさだとすぐに気づいた。

「でも・・・」

「その代わり、合格が決まったら報告ちょうだい。それでいいや。忘れたら怒るよ」

「・・・分かった」

笑顔の中に有無を言わせぬ迫力があって、オレは渋々頷いた。

ここは三奈子の優しさを素直に受け取っておくべきだろう。

「・・・それじゃ、あたし、行くね」

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