天は地に沈み世界には暗黒くんがやってまいりました。暗黒くんには時速300Mくらいの力でニッポニアニッポンを押せる力があったので世界は瞬く間に闇っぽくなりました。ぽいだけですから意外に住みにくくは無く、相手の姿を確認する時に多少苦労するくらいで懐中電灯が必須なのでした。でも必須なのは懐中電灯だけでした。だからまあ暗黒くんを殺すほどではない。とみんな考えていたのですが実は問題はそれほど簡単ではなく、暗黒くんがくん付けで呼ばれている理由を悟った一人の霊能力者が「あれはハンドパワーだ!」などと叫びながら火山の中へ飛び込むという一世一代のパフォーマンスを繰り広げましたが誰も見てはいなかったのでした。憤怒に駆られた霊能力者はマグマにダイブする直前にその持てる力を遺憾なく発揮して霊的なビームを手から発射しました。これもハンドパワーだ! 目には目を! 何てことを考えたかどうかは私には分かりませんが、とにかくそのビームはひゅおんと捻じ曲がりながら飛んで行き、最後のニッポニアニッポンを串刺しにしました。何とニッポニアニッポンは伏線だったのです! ニッポニアニッポンのいなくなった地球上では暗黒くんもなすすべなく、仕方なしに世界は氷河期へと突入しました。これはもうどうしようもない。何をしようとも関係ない。実は暗黒くんが女神にも等しい存在だと知った私たちは帰っておいでーなどと口々に叫びましたが暗黒くんはまだ帰っていなかったのでどうすることも出来ませんでした。怒ったのは私たちです。非常に自分勝手ではありますが、確かに私たちは怒ったのです。怒っただけですが。そのとき火山が噴火しました。霊能力者の魂はそれなりに重かったのです。だだだだだと機関銃のように繰り出されるマグマや焼けた石に飲み込まれて私たちの殆どが死んでしまいました。運良く私は生きていませんでした。だって仲間はずれはいやですからね。私たちのタマシイは地中深くへ潜り潜り潜りそしてついには裏っ側に突入しました。そこは全てが反転する世界。暗黒くんは明白くんになって明白な事実を吐露しています。私たちはそこを桃源郷とすることに決め、様々なプールを造って何時までも何時までも遊んでいるのでした。マル。

text by MIZUIKE Wataru
2006/11/15
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